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Writer's pictureYuki Hayakawa

うれしいひなまつり


「あかりをつけましょ ぼんぼりに~♪」で知られる『うれしいひなまつり』(作詞:サトウハチロー、作曲:河村光陽) 1936年に発表された日本の童謡ですが、作詞をしたサトウハチロー氏は晩年まで歌詞の間違いを気にしていたそうです。

<お内裏様(だいりさま)とお雛様~、二人並んですまし顔~♪> 「お内裏様」は男女一対の雛人形を指します。 「お雛様」は雛人形を敬い親しみを込めて呼ぶ言葉で、三人官女や五人囃子なども全て「お雛様」にあたります。 お内裏様はお雛様~♪ということでしょうかしら。

「内裏」は、天皇陛下の住む御殿、皇居を意味します。天皇皇后の「結婚の儀」を表現している雛段飾りでは、お内裏様は男雛・女雛で一対の人形を指すのです。

<赤いお顔の右大臣(うだいじん)~♪> 赤い顔の人形は、雛壇に向かって右に位置する「左大臣」です。白い顔の人形が「右大臣(うだいじん)」です。

雛段飾りにおける左右は、お内裏様から見た左右に従って配置されます。それを対面から眺めると、左右とは逆になってしまいます。

さらに、右大臣は、朝廷の最高機関「太政官」における事実上の長官ですから、弓矢で武装した衣装を着ることはありません。右大臣なら雛段飾りの二段目に来なければ不自然という説もあります。四段目の随臣(随身)について、右大臣の呼称を用いることは間違いで、正しくは、向かって左側の赤い衣装の随臣は「右近衛少将(うこんのえのしょうしょう)」、右側の黒い方は「左近衛中将(さこんえのしょうしょう)」となるというお話もあります。

当院では、向かって男雛を左側・女雛を右側に飾っています。

関西では、男雛が向かって右、女雛が向かって左に飾られることが多いかと思います。それは、日本古来の「左上座」、つまり左側(向かって右)の上座に男性をおいたからです。

明治維新以降、日本は国際社会に仲間入りをし、国際儀礼である「右上位」のルールを取り入れました。昭和天皇のご即位の時、洋装の天皇陛下が皇后陛下の右側、つまり向かって左に立たれたのを、覚えていらっしゃいますでしょうか。よって、現在は男雛を左側・女雛を右側が全国的に主流です。

正巽閣など、歴史のある場所で飾られる雛人形は、古来の考えを継承し、男雛を右側・女雛を左側にしています。

雛人形は一般的に3月3日まで飾るものと言われていますが、金沢では4月3日まで飾るところが多いです。当院でも4月3日まで雛飾りをしています。

これらの間違いのお陰で、私たちは現在、良い勉強をさせていただいていますね。

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